09――――永遠の呪縛





























6月15日夏の大会一ヶ月前。




志田「なぁ〜果歩たぁ〜ん」




教室の隅で話す二人の姿、1人は長身でもう1人はオドオドした少女。




つまり志田と那珂川であるが二人は志田の猛アピールにより一ヶ月前よりはだいぶ仲良くはなっていた。


相変わらず坂原の監視付きではあるが…




果歩「で、でででも私あんまり出歩いたらダメだって…」



内容は体が弱いせいかあまり出歩かない果歩に出かけないかと言う話を持ちかけた志田。


少し考え込む志田。




志田「ん〜解かった…じゃあ今日の7時自分の部屋で待ってろ、面白い事起こしてやっから!」

果歩「……えっ!」





志田はそれだけ言い残し自分の席に戻っていった。

そこで二つの目線が光った事に気付いては居なかったが…

席に着くと前の席から後ろを向いて話しかけてくる城所。



城所「なぁ…志田ぁ…」



真剣な面持ちで下を向きため息を付く城所。


志田「な…なんだよ?」


当然志田も緊張するわけだが…











城所「お前…俺より登場回数多くねーか」



志田「………アホ」



お決まりのボケとツッコミが炸裂した。







学校が終わり一斉に部活やら帰宅に行く生徒達。

野球部は現在天然スパルタ監督和泉によって部活後は死人の様な状態になっているが今日は監督が用事の為早帰りとなっていてた。

部員一同は『恐らく最後のチャンス』と考え遊んだりアソンダリあそんだりしたという。




加瀬「志田ー!ゲーセンいかねーか?」


志田「悪ぃ、用事あっからパスするわぁ〜じゃぁーな」



颯爽と帰っていく志田、残された加瀬は赤丸と一緒にゲームセンターに向かって行った。









夜7時〜




太陽が消え月夜がうっすらと影にかかる時間帯。



志田「ここが果歩たん家かぁ〜…」



目の前で今では流行の三階建ての家が壁として阻む。

早速よじのぼろうとする志田。











城所「なるほど結構いい所住んでんじゃねーの?」


坂原「これって不法侵入で通報してもいいのよね?」









……?


………??


…………!!!!??




イマイチ理解の出来ないようで、壁に張り付きながら固まる志田。

さてここで問題です、何故ここに城所と坂原がいるでしょうか?




@そこで二つの目線が光った事に気付いては居なかったが。


A颯爽と帰っていく志田、残された加瀬は赤丸と一緒にゲームセンターに向かって行った。(城所は?)




坂原「アンタと果歩を二人っきりにしたらどーなるか解かったもんじゃないからね」



凄い勢いの回し蹴りを見せる坂原、スカートだから見えてますよ…



城所「俺は…あーえーと…」



暇つぶしです。



何も言わず壁をよじ登る志田、現実を認めたくないらしい。

下からギャーギャーわめき声が聞こえるが恐らく幻声だろう…そー思いたい。









那珂川果歩自室。


ちなみに、ぬいぐるみやピンク色を中心とした淡い雰囲気の部屋で、やっぱり女の子の部屋である。

しかし緊急用の点滴や注射の用意はあるのは違和感があるが…

真っ白な病院用のベットに横たわっている果歩。



那珂川「一体なんだったんだろう?」



何も無いような気がしながら少し何かを期待していた自分がいた。

昔からこの様なドキドキ感がある事は避けていたため何故か心臓が高ぶる…






トントン!






窓から聞こえてた外から窓を叩く音。



那珂川「まさか…ね?」



少し笑いを零しながら窓の方に近付いていく。



ガララッ…



窓を開けると目の前に居たのはバンダナをした少年。


「面白い事おこしてやるよ」そう言っていた、志田拓也だった。










志田「ぜぇはふああぁぁ、白馬の王子様の到着だぜぇ〜」





塀からよじ登ってくる王子様がいるのか?



那珂川「な、なんで私の部屋知ってるの?」



それは1番気になる問題である、果歩は志田に家を教えた覚えは無い。

学校も住所録はプライバシー保護の為載せてはいない。

ましてや部屋は一体?



志田「いゃぁ〜ストー……あ、あの…そそそう坂原からきききき聞いたんだよ」



何かを言い掛けたのが気になったが、果歩はそーかと判断した。

窓の下を除くと坂原と城所がいるからだ…



志田「さぁ、出かけようぜ?」



親指をグッと立てて白い歯を零す志田。



果歩「何処に?」

志田「いーから降りて来いって、あ…親に見つかったらマズイんだよな?」



果歩はコクンと頷く。

志田はそのまま果歩の部屋に侵入してくる。

そしてそのまま果歩を抱きかかえる、俗に言うお姫様ダッコ。




果歩「ちちちちょっと志田君?」

志田「いーから黙って俺に付いて来な」




その頃下では…



坂原「なんでアイツはあんなに果歩に固執するのかなぁ〜」



自らの親友が危ない目にあうんじゃないかと地面を蹴り上げて怒りをあらわにする坂原。

その蹴り上げた砂は全部城所に掛かっているが知ったこっちゃない。







城所「………」





城所は知っていた。





志田が何故あそこまで果歩に固執する理由が…











城所(似過ぎてんだよな…『アイツ』に…)








夜7時半今日は年に一度の月食。


月は闇に飲み込まれそして新たに生まれ変わる。


その月は城所は志田と重ね合わせていた。








城所「闇に囚われた呪縛は永遠に続くだろう…月が消えぬ限り星は永遠に輝けぬだろう…」






そんな言葉を昔聞いた気がした城所。



その言葉が仮にも今自分が潰そうとしている親友ともう1人に当てはまるとは…















城所「輝けぬ星は光年を向かえ…時を終えるだろう…」















思ってもみなかった…