第二話『王者の貫禄』
僕は、専用球場に作られたマウンド上へ上っている。
そして、投球動作をしている途中である。両腕を上げて視界が狭くなりながらも打者の神埼をキチンと直視している。
しかし、打者神崎からどことなく、名門のオーラが感じ取られる。
僕は“これが王者の貫禄”と言う物を感じ取っていた。
さすが余裕で打席に構えていることが感じ取られている。俺はこん身の力を振り絞り、あの名門へ対する様々な気持ちを自分なりにぶつけられたと今でも満足している。
あんなに“凄い・堂々としている・何かが違う・体系が違う・経験が違う”などと言う気持ちを考えながら、投じた1球は……。
「甘いよ!そんな球打たれるよ」
と言う神崎の心の声を聞いてしまったような気がした。
(って俺はサトラレかい!!と今では思う臭い分であるが… って!もう、作者に任せて喋っちまえ!!きーー)
その瞬間、彼の木製バットからカーンと言うよりスパーンと木の乾いた音が響いた。
高校生なのに木製バットを使用しているのは、流石に名門だからであろうと思っていたがあとから考えれば琉球付属の奴らは本番こそは金属だが、プロになれるために練習は木製なのである。
打球は引張り気味で三塁線を破ったレフト前ヒットであった。神崎も“あれーおかしいな”とでも言う表情で首を捻っていた。
やはり高校生が木製を使用する物ではないと心からそう思った。
それは妬みなんかではないが、常識を考えれば水島真司の“ドカベンの主人公山田太郎”くらいだろうと冗談まじりで考えた。
そうするしかなかった。
ただ、力の差だけだとは解っていてもそれを考えたり認めたりすると悲しくなるからである。
何球かする内に全力投球もバカバカしいと思ってきた。
そのうち監督から注意されてしまい、降板させられてしまった。
うーん世の中なれない相手を勝手に敵に回さないことだなと思った。神崎に通用しないことは、投げる前から理解していたが、意地という物が意思の中で勝ってしまったため、無理な目標をつけてしまったのだろうと自分なりに解釈していた。
「お疲れさーーーん」
「おーう、また明日な!」
「じゃあ」
「ああ」
などと挨拶を交わしていくなか、一人だけポツンと校庭に残っている人影があった。
神崎である。
彼は手の豆が潰れるほど素振りをしていた。
そして豆の上にまた豆ができその豆が、また潰れると言うのが毎日、繰り返されていた。
そこへ雫が通りかかる。ブン!ブン!と言うよりヴォン!ヴォン!と言うこれが人間が出す音かと言う程圧倒されてしまう機械的な素振りの音が響く中雫が、恐る恐る近づいてきた。
かなり剛、繋がりで野球部との交流の多い雫でも、見たことのない顔であったような気が周りが暗いせいかそう感じてしまった。
しかし、ライトが照らされているところへ来ると知った顔だと思い、感づいた顔をした。
「神崎君…練習中ごめんなさい。野球部の練習はもう終わったの?」
と恐縮そうに聞く、練習を邪魔してはいけないと思う心がかなりあったためだ。
そこが雫の好かれる原因でもある。
しかし気がつかないのか神崎の練習はかなり続いたようにその内、感じ取れたが神崎が練習をやめたのはほんの数秒な時間であろうがそれだけ王者の雰囲気があったためであると分析してしまう程、われわれ弱小野球部にはない威圧感である。
「あ!ごめん!素振りしながら…言うけど……野球部に会いなら早めに部室に行けば…間に合うさー」
と彼の沖縄弁が炸裂したがここは南国の島である沖縄なので誰も転校生なので、一種のなまだとか変だとか笑えなかった。
“沖縄人同志”であるからである。
しかも雫も普段使用して、使い慣れている言葉だから会話はスムーズである。
そう言ってお礼を言い、走って部室まで行った。
そして電気が着いているのを窓から確認した。その瞬間窓が開き剛が
「何だーー!!!!除きかーーーー女なのに悪趣味だぞ」
と笑顔で言った。
剛に対して、何だこいつ野球部のエースなのにさっきの神埼の居残りを見て思ってしまい、ついついこのふざけた態度はと怒ってしまった。
「ちょっと!!あんたっ!!!神崎君を見習いなさいよ!!偉いわよ!!努力するから」
と凄く見下した感じで行ってしまったがこれは心にも思っていないことである。
その人の潜在能力があるので仕方ないとは、スポーツを雫自身もやっている解っていた。
するとそれを見過ごしていたかの用に剛は、
「ふふーんお前も神崎かーー俺はこれから伸びるの!!だから無理な練習はしないだけ!!俺にはオーラがあるんだよ天才肌の!!」
とふざけた態度で行ってきたので、これを聞いた雫はいつもの喧嘩のように
「あのねっ!!喧嘩したくていってるわけじゃあないけど、努力なしに天才肌とかほざいてるんじゃないわよ!!剛のは天才肌ではなくてボケ肌じゃないの?」
目が大きく開いて頭に血が、上り貧血見たいふらふらしてる見たいな感覚でイライラした表情でいった。
「あーー!!煩い!!どいつもこいつも!!神崎かよーー!!!俺は御手洗なんだよ!!神崎はただの転校生で関係ないんだよ!!!」
こちらもそれなりの対応はした。と、いわんばかかりの表情で窓を閉めて着替えを済ませ、帰宅をしてしまった。
雫はただ、ぼーとつったているだけであったが、明日は優しくしてあげようと心から思った。
その横で校庭では神崎が引き上げていく姿が見えた。