14――――予選会































7月15日高校野球西東京予選会当日。



監督の和泉と主将の宮田が出席して野球部一同は祈りながら帰りを待つ。

ちなみに宮田のくじ運は良いともいえず悪いともいえない、いわいる普通である。


テュルルルルルル〜テュルルリ♪(キューティ○ーニの主題歌)

そして浦和の携帯に連絡が入る。

部員一同は浦和を冷ややかな目で見るが気にもしていられない。

発端は当然着メロの事であるが…


浦和「あぁ…んで一回戦は何処…あぁ解かった」


短い会話で電話を切る浦和、部員一同に視線が集まる。


加瀬「ど、何処なんですか初戦の相手は?」


ゴクッ…


生唾の音が聞こえるほどシーンとなるグラウンド。

そして…






浦和「去年ベスト8の前橋商業だ…」






聞いた瞬間一同がしらけ絶望する。

遺書や退部届けを書いたりする者、練習から脱走するもの…


志田「前橋商業ってそんなに強いんですか?」

ただこの一言を発した選手だけは練習に励んでいた。

何も知らんとばかりに頭の上に?を浮かべる志田。


只野「あのなぁ〜マジックスローの大荻巧(おおおぎたくみ)サイドスローで130後半 をコンスタントに叩き出すプロ注目投手に秋の大会無失策の鉄壁守備陣だぞ?」

吉田山「しかも右打者の内角に切れ込んでくるスライダーは絶対に打てないと評判だ…」


去年の夏ベスト8の強豪と去年の夏一回戦負けのチームではホトホト差がある。

2、3年部員もその事は承知しているうえで絶望的な態度をとる。


加瀬「でも俺らだって去年ベスト16の桜ヶ丘に勝って、そして今までの練習を思い出し てください…」


苦痛の表情で練習を思い出す部員一同。

まずランニングからダッシュ200本後にベースランニング50周。

30分の打撃練習が終わった後は鬼のスパルタノック(1人エラーしたら全員のノック数 が10UPするノック)

そして最後には素振り1000本+ベースランニング50周…etc



宮田「そうだ、どうせ倒すなら早い方がいいだろ!」



いつのまにか帰ってきた宮田。

そして部員一同からキャプテンに祝福が…


浦和「テメェエエェェ何開き直ってんだコノヤロオオオォォ!」


――バキイィィ


石川「キャプテンのせいで負けたら速攻リンチっすからね」


――ゴスッ 城所「ドンマイっす…」


――ドスッ…


浴びせられる罵倒に心のこもった愛の鉄拳。

気が治まった頃には宮田の意識は無かったとかあったとか…


和泉「よし、じゃ今日は練習これで終わり来週に備えて体調管理しっかりね〜」

もうすでに宮田は体調管理とかの問題レベルではないがストレスの不安は無くなった。

そして一同が帰路に…





和泉「あっ、志田君は待って」

突然志田を呼び止める和泉。

志田「おれっすか?」

和泉「ん〜悪いんだけどちょっと部室まで来てくれる?」





和泉と共に部室に向かう。

その足取りは速かったり遅かったり。

まさか変な趣味が爆発するのではないかとか、もしかしてエースナンバーが貰えるかもと か訳のわからない妄想を駆け巡らしていたからだ…




和泉「さて本題だけどあの変化球は誰に習ったの?」

志田「ムービングアイハントスワローの事っすか?」


5月10日の練習試合で一回しか投げていないボール『ムービングアイハントスワロー』

蝶のように舞い上がり燕のように急降下しながら揺れる魔球。


志田「あれは城所に習いました、お前は指が長いから投げられるって…」





考え込む和泉。

一時の沈黙が流れる…






そして5分後和泉が重い口を開いた。






和泉「…志田君あの変化球は多投しちゃいけないよ〜じゃあもう帰っていいよ」

志田「は、はぁ…?」



首を傾げながら部室を後にする志田。

和泉は座椅子い座ったまましばらく動かないで居た…








和泉「志田を『ヤツ』の二の舞にさせるつもりのか…城所聖也…」






高校野球の舞台がが…幕を開けた。