第三話『最強!?最凶!?新米女監督!』
「明日から監督に先生が就くそうだ。」
練習を終え恋恋高校から徒歩2分ほどの回転寿司屋で1500円で食べ放題の夕食をとっている時丸岩が何の前触れもなしにそう言った。
「へえ〜監督って言われるとなんか本格的に野球部ぽいね」
僕は43皿目となるサーモンを口に運びながらそう答えた…恨むな寿司屋、
大食いで知られる僕と丸岩を店に入れた時点で大損は確定していたのだ。
ちょっと視線が痛いけどな!
「まあ大して期待は出来ないさ、どっちみち9人しかいないしな。」
丸岩も40皿目となる生イカを口の中に放り込みながら言った。
フフフ、大損だな寿司屋、3000円で推定10000円は食われてるからな…板前さんの目が痛い…
「あの…社会を担当しています霧島(きりしま)と申します。その…一生懸命頑張るので…宜しくお願いします」
霧島先生が挨拶をし終えると皆から拍手が起こる。
若くて眼鏡をかけた優しそうな先生だ…みんなそんな事を考えるよりもっとほかの事に目が行ってる訳だが…
「…で何で全身水びだしなんですか?」
そう、何故かはしらないが今の霧島先生は体中がずぶぬれだ。
「ぬおお!!!水でスケスケになったYシャツからブラジャーが!ブラジャァァァァァァ!!!宇宙がーーーーーーー!!!!!」
そんな事を言っている丸岩に僕と宝来坂さんが2人がかりのブレンバスターを仕掛ける。
「げふっ!」
はいKO勝ち。 つうか透けたブラジャーに宇宙を見るな!
「で?どうしたんです?」
僕はやや怯えた感じの霧島先生に聞いた。
「はい、その…テストの丸付けをしていたら風が吹いてきてテストが飛んじゃって、それで追っかけてたら学校を出てしまって、それで車が急に出てきたので止まったら打ち水をしていた八百屋さんに水をかけられました」
そ…それは…
「すぅんばらしぃいぃ!!!ドジッ子だ!霧島先生!貴方は神に選ばれた最高のドジッ子だ!俺でさえここまでの完璧なるドジ初めて…ぎゃああああああ!!ぐ…」
あほな事を言った後に宝来坂さんにキャメルクラッチ、
友沢さんに逆エビ反り固めをかけられ悲鳴を上げる丸岩、
うんいい仕事してるよ宝来坂さん!友沢さん!
「そうなんです…子供の頃からついてなくて…なかなか生まれなかったりとか、生まれてみたらへその緒が首に絡まったりとか、幼稚園のバスに乗り遅れたりとか、手を上げてもタクシーが止まってくれなかったりとか、ジャンケンに関しては勝つどころかあいこすらないんです!」
目をうるうるさせて僕に迫ってくる先生、可愛いよこの先生、目をうるうるとかさせないでよ!
「それは…大変ですね」
「ええ…でもこんな事にめげません!あなた達に頑張ってもらって一つでも多く勝って私の運を上げてもらうんです!だから宜しくお願い…きゃっ!」
ちょっとキャラが変わった先生がまくし立てているところへどこからともなく飛んできたバスケットボールが先生の後頭部に直撃して先生は倒れた。
…こんなのが監督で大丈夫なのかな…