03――――初心者?
























グラウンドに行くとそこには弱小高校にもったいない広さの敷地があった。

恐らくこの学校のメインの文化部が学校内でしか活動しないからだろう…




宮田「おーし、じゃあ各自でアップを始めてくれーー今は2時30分だから…45分からチーム練習で3時から試合だ!」




部室内で配布された練習用ユニフォームに着替え。

部員の一部はストレッチしたりランニングをしたりで色々だ。

俺はストレッチに25分を消費し軽いランニングで5分もちろん全体練習は拒否した。

俺以外にも1人だけ。




城所「珍しいな〜俺は初心者だぜ? その練習についてくるなんて…」

赤丸「ストレッチは大体20〜25分程度が最適なんだよね、いきなりボール使って全体練習するよりよっぽど効果的だから…」



さっきから俺の練習に合わせてきたのは一年 生&三年生チームのサード赤丸だった。

身長の割には幼い顔…つまり童顔で元陸上部の俺のランニングペースに平然と付いてくる不思議な奴。


赤丸「キャッチボールしよっか? 三遊間組むんだから」


赤丸は部から借りた俺のグラブを差し出した。

キャプテンがイキナリ試合にしたので大抵の新入生はグラブを忘れている。


城所「…あぁ」



キャッチボール…実は俺が1番嫌いな練習だ…

本来キャッチボールは肘と肩を温める事とボールとグラブの感触に馴れる事。

なのにいつの間にか父と子の触れ合いなどに使われている練習。

だが渋々承諾し赤丸とキャッチボールをする。





バシッ!





バシィッ!





バシィィッ!






徐々にボールの速度が速くなっていく、後2分も無い状況では早めに肩を作らなきゃいけないからだ。






ビュッ!















赤丸「あっ…ゴメッ…」















赤丸の投げたボールは城所の右に大きく逸れワンバウンドして後ろに…







パシイィィッ!

ビュッ!








城所はグラブを低く差し出しボールを抑えるように捕った。

その後は無駄な動作も無く体重を左足に乗せてサイドスローで赤丸に返した。


城所「おぃ〜気ぃつけろよ〜」

赤丸「あっ…う…うん」(城所君は…本当に初心者なの?)



でもキャッチボールくらいなら誰でもやった事があるだろうと思い納得した赤丸。

二人はキャッチボールを再開した。


宮田「よ〜し試合を始めるか…先攻俺らで始めるからなぁ〜」


3時になり試合は始まりを迎えた。


そして整列…



志田「お前は黙って立っているだけでいいからな? 俺の三振ショーが始まるからなぁ…あっはははははははははははは」

先程の事からまだ意地を張っている志田。



城所「その皮肉と余裕が何処まで続くのか…楽しみにしてるよ…」

元々ケンカを売られる体質の城所。

二人の眼光は鋭く絡み合った。

一応二人は同じチームであるのだが…



一同「よろしくお願いしまーすーー!!!」


しかしそんな事は構いもせず試合は始まる。



俺はサードベースとセカンドベースの真ん中のショートポジションに付く。

ファーストの加瀬が投げたボールを捕って返球する。

志田はピッチャーマウンドに付く。

キャッチャーの浦和先輩にボールを軽く投げ込む。




そして投球練習が終わると浦和先輩が志田の元に行き口にグローブを当てて話しながらサイン交換をする。


志田が俺の方を指差して何か説明している…

大方初心者だから打たせたらダメとかだろうが…

サイン交換が終わると浦和先輩はホームベースの後ろに付いた。











審判「プレーボール!!」


試合が始まった。

1番の吉田山先輩が右バッターボックスに入る。


吉田山「来いやー1年ーー!」


そんな声がグラウンド上に響きその声のやまびこが聞こえてきたとき浦和先輩はサインを出す。

志田はそれに逆らう事無く頷いた。


両腕を後ろに持って来て胸を張り肩の高さまで膝を上げる。


そして足を振り下ろす反動を使って…


腕をムチのようにしならせ…













ズバァァァァンッ!!!!






審判「ストラーイク!!」




ボールはキャッチャーミットのど真ん中に収まった。



吉田山「1年にしては速いなぁ〜127位か?」


高校生のレベルとして127は決して速くは無い。

しかし中学生あがりの割には長身から投げてくる球の打ちにくさは素晴らしい物を持っている。



ズバアアァァン!!



審判「ストラーイクッ!! バッターアウトーーッ!!」


二球目にカーブ三球目にフォークボールで三球三振で一度も吉田山にバットを振らせなかった。


多彩な球種に絶大な自信を持っていた志田は、弱小高相手には三振ショーで締められる、そう思っていた。



二番の吉井先輩が左バッターボックスに…

そして志田が投げる!

外角低めに投げたつもりがすっぽ抜けボールは甘く入り真ん中高めのカーブになった…









カキィ イイイン!!







軽快な金属音が響いた。







打球は三遊間に飛んでいく。


赤丸(恐らく、捕れないけど)


打球はワンバウンドして更に打球のスピードが上がる。


赤丸(弾いて掛けて見よう…)



バチィィィィ…



打球は赤丸のグローブを弾いてショートの後ろに転がる。


赤丸「城所君!!」

志田「しまった〜〜」


吉井「しゃあ!セー…」





城所「その判断…」





城所は後ろに転がった素手でボールを拾い…

後ろ足に体重を掛けて…















送球する!



















ズバァァァァンッ!!!!






















審判「ア…アウト!」










城所「大正解〜」










一回表、 先0ー0後