04――――1人舞台































吉井「はっ…はは…あ…あの当たりでアウト?」





ベースを踏み終え一塁を駆け抜けた吉井は唖然としていた。

別に吉井の足は遅いわけではなく最後に気を緩めたわけではない。


宮田「あの肩……アイツ…なにもんだ?」



ネクストバッターボックスの宮田もろもろ他の選手も驚いていた。

言うまでも無いが1番驚いたのは志田である。

その驚かさした張本人=城所



自分の所に弾いた赤丸と握手をしていた。



志田は気にしないようにとたが動揺してしまい次の宮田に対してボールを投げ込んだ。



宮田「やれやれ…ルーキが、目の前の敵を忘れるなんて…」



宮田は弱小校とはいえどもキャプテンだ。

いつか東水原高校のスコアーを紹介したがその時の点数を覚えているだろうか?

3対14…去年の夏の弱小校相手ながらも3点をとっている。



その時実は宮田もスタメンで出場しており2打数の2安打2打点。



つまり宮田は三分の二打点をたたき出している主軸だ。




志田「しまっ…」




カキィィィイイイン!!





さっきよりも高い金属音が空に響いた。

ボールはセカンドーベースと二塁手の間を凄いスピードで抜け、あっという間にセンターの前まで…











パシイイィィ!



宮田「なっ…マジで!?」

そこにはセカンドベースの一m真後ろでグラブにボールを抑えている城所がいた。

定位置とは5m以上つまり捕球体勢に入ったら20歩位違うところにいる。



城所「あれ〜志田? 奪三振ショー見せてくれるんじゃなかったのか? これじゃあ〜」



志田「…っ」



城所は笑みを浮かべ志田は苦痛の表情を浮かべ他の部員は呆然とするしかなかった。








城所「俺の一人舞台だぜ?」





グラウンドは攻守交替の知らせを聞くまでは城所以外だれもが一歩も動けなかった…

回は裏に変わり1年&3年の攻撃となる。



浦和「なぁ? 本当にアイツ初心者なのか?」

志田「は、はい多分…」


浦和「多分…?」



1年&3年ベンチではざわめきが起こっていた。

もちろん城所の事であるが…


城所「どーでもいいっすけど浦和先輩〜黒井先輩ってどんなピッチャーなんすか?」



城所が本人自体の話題を切る。

触れられたくないのだろうか?

でも確かに今質問している事は現在において必応な事だが…



浦和「あ、ああ…アイツは120後半のストレートと遅いスクリューの緩急で勝負する技巧派タイプだな」

120後半シニア経験者なら余裕で越していけるであろうレベルである。

つまりあまり速くないのだが…



投球練習が終わり、プレイがかかるのを待つ。

そして左打席に赤丸が入る。



審判「プレイ!」



ノーワインドで振りかぶる。

そして黒井の左腕からボールが放たれる。









ピシュュュュュ!












ドカアアアァァ!




何か鈍い音がグラウンド上に響いた。





赤丸「ニヤアアアアアアアアァァァ!!」





ボールは見事に赤丸の背中を捕らえていた。

黒井「ゴ…ゴメン」

気の弱そうな声が赤丸の耳に届いた。



しかし硬球が背中に当たったのだ、しかも初打席…



浦和「やっぱりアイツのストレートの制球はハンパねーな、変化球はまぁまぁなんだけど…」


それは最初に言ってくれと赤丸はもだえ ながらも思った。

しかし事は既におそしである…


背中を抑えながら赤丸は一塁へと歩いて行った。

そして二番を向かえセットポジションに入る黒井。


一塁には今にも死にそうな赤丸…





審判「ストライークバッターアウト!!」



一同「はやっ!!」

戸野「す…すいません」



死球の後の出来事で呆気をとられていたせいか2番戸野の三振に気が付かなかった。

そして次の打者は…



城所「さぁ〜てぶっ飛ばしてきますか!」



両手でバットの先と先を持って屈伸運動する。

そのままゆっくりと打席に入っていく。



その間声を挙げる者は誰もいなかった…



シーンと無音が鳴り響くグラウンド。

打席に入った城所は腕を伸ばしリラックスさせる。

フォームは腰が据わっておりトップもキチンと取れている。



浦和「……なぁ構え的にも素人には到底見えないんだか?」

加瀬「そ〜いや志田お前さっき『多分』とかいってたよな」

志田「………アイツは中二の時に転校してきたんすよ…それでイキナリ陸上部入って……」












志田「……あっ!?」



一同は志田の声に驚いた。





カキィイイイイーーーーン!!!



くしくも同じタイミングで鋭い金属音が聞こえていた。



志田「……今のは外角低めのスクリュー……マグレで当たっても初心者なら内野ゴロが関のやま…」

浦和「それを…」







スウッ…







志田&浦和「ホームランだと!?」






打球はライトのポール側をギリギリを巻いて吸い込まれていった。





城所「おい、志田ぁ〜」

打球を確認しながら一塁へと走り出す城所。



志田「………お前……初心者じゃ…?」

動揺所か何故か怒りさえ感じさせる志田。

パスッ…

城所は一塁ベースで止まった。



城所「俺は……こっちに来てから野球の動作は一度もしてないからな」

志田「球技大会も…体育の授業も休んでいたのもか…」

コクリと城所は頷く。



実は中学時代城所は一度も球技大会とソフトボールの授業に出てない。

その理由は『お腹が痛い』というあいまいな理由だったが…



志田「だけど何で隠す必要があんだよ!大体お前あんなに野球が嫌いって…!」







城所「あぁ大っ嫌いだよ…野球なんて俺が1番嫌いなスポーツだったはずだったのに…」

















城所「……だけど俺の『汚れた血』は野球をやらなきゃいけない運命を作り出したみたいだ…」











一回裏、 先0ー2後