08――――赤丸日記
赤丸日記。
5月10日日曜日、晴天良好。
今日は練習試合、相手は去年夏の県大会ベスト16の桜ヶ丘高校のグラウンド。
主軸の深海(しんかい)を中心とした纏まりのあるチームで今年はダークホースとしても期待されている学校です。
4月に新監督の和泉監督が来てから一ヶ月が経ち僕達は扱かれたりシゴカレたりしごかれたりしました。
穏やかそうに見える顔とはうらはらに恐ろしいドSでした。
今日のスターティングラインナップは…
1番セカンド宮田
2番サード赤丸
3番キャッチャー只野
4番ショート城所
5番ピッチャー黒井
6番ファースト吉田山
7番ライト石竹谷
8番レフト浦和
9番センター石川
僕はスタメンに入りました〜ヤッター!
でも城所君は一年生で4番すごいなー、練習では飛ばさないけど試合形式では12打数7安打4本塁打13打点は破格でした。
志田君と加瀬君は当然の様にベンチでした。(後で城所君が皮肉っていたらなんか、埋められていました…)
1回1番の宮田キャプテンがヒットで出塁、僕が四球を選び只野先輩がクリーンヒットそして4番の城所君が…
カキイイイイイイィィィィィン!!!
相手エースの決め球のスライダーを豪快に場外に待っていき満塁本塁打。
カキイイイイイイイィィィィィィィイン!!!
今度は5番の黒井先輩が失投のど真ん中を引っ張りポール直撃のソロ本塁打。
しかし相手打線も負けずに立ち上がりの黒井先輩を攻めで4回まで5点を取りました。
試合は宮田先輩のタイムリースリベースに僕の犠牲フライで九回表終わって7対4。
九回裏ボール球の先行でなんと180球を越えてスタミナのある黒井先輩もバテが来ました…。
二死走者満塁、7ー7同点一発逆転ので打者は今日2打点の主砲深海…
志田「お願いします!俺を出してください!」
監督の前では必死に頭を下げる志田君の姿が在りました。
城所君と浦和先輩と只野先輩と宮田先輩が集まって監督が審判に告げました。
和泉「えーとショートの城所がキャッチャー、キャッチャーの只野がレフト、レフトの浦和がショート…ピッチャーの黒井に代わりまして志田〜」
布陣が一気に変わりました。
先輩達のコンバートは余り驚きませんでしたが城所君のキャッチャーはかなり驚きました。
志田君の第一球豪快なフォームから繰り出される球は内角のカットボール、外角のシンカーでツーストライク…
最後の球は空中で舞う蝶の様にヒラヒラと舞い上がりそのまま燕の様に急降下して来ました。
打者は見逃し三振、一同が唖然となりました…
志田「新球ムービーアイハントスワロー…完璧!」
ネーミングに疑問を感じますが一生懸命考えたんだと思います。
九回の裏、5番の志田君に代打が出ました(練習試合は九回までなので…)
予想に反して加瀬君でした。
「三振してこいよー」
「お前が打てないのに2000円掛けてんだかんなー」
味方からなのに野次が飛びました…
加瀬君は試合形式では10打数1安打8三振、まぁ当然の野次かもしれません…
キィン…
恐らく聞こえてきたのはこの音だけだったと思います…
その打球は大きな弧の放物線をレフトに描いてスッとグラウンドから消えていきました。
サヨナラ本塁打…誰もが予想していなかった…んだと思っていたのですが…
城所「ハーイ毎度」
城所君は信じていたんだと思いますが、イマイチ感動できませんでした。
ホームベースを踏む加瀬君に僕達は祝福の蹴りとか鉄拳とか入れました。
加瀬君とハイタッチした手を見るとボロボロでした、やっぱり監督に言われた事を気にしていたけど自分の打撃は覆せなかったみたいです。
その分類まれな努力でカバーしたのでしょう。
とにかく僕達新生東水原高校は8対7で勝ちました。
加瀬「赤丸ー!遊びに行こぜー!」
志田「城所が奢ってくれるってよー」
城所「臨時収入を得たからな…」
バタン…
赤丸「解かったーちょっと待ってて〜」
恐らく僕等の快進撃の序章になればいいなーっと思います。
赤丸日記〜終わり