10ーーーーOVER
木から木に飛び移る志田。
お姫様ダッコ状態の果歩を乗せて危険なダイブを試みる。
そして着地にはお決まり通り果歩は無地着地、志田は顔面から着地…
坂原「果歩大丈夫!?」
果歩「だ…大丈夫だよ、綾香…」
何かされなかったかとばかり果歩に確認をとる坂原。
志田「俺を心配しろ〜!!!」
虚しい志田の声が住宅街に響き渡った。
当然窓を開けたりする人たちも大勢出てくるわけだが…
ヤバイと確信した四人は一斉に逃げたした。
城所「………アホ」
果歩「………ドジ…だね」
坂原「………死ね!」
志田「ありえねーーーーーーー!」
更にもう1つ大きな声が響き渡った。
その後坂原が鉄拳を入れてまた大きな声が響いたのは言うまでもない。
辿り着いた場所は広い草原のような丘。
果歩「ゼェ…ハァ……ゴホゴホ!!」
志田「………大丈夫か?」
息を切らして酸素不足になる果歩。
それを後ろから気遣う志田いつもと違う雰囲気だった。
城所「……坂原行くぞ」
坂原「えっ!?」
歩く城所の後を付いて行く坂原。
志田は親友の気遣いに感謝して城所に頭を下げる。
城所も後ろから上手くやれよ…というジェスチャーを送る。
歩いて5分位の所で意味の無い遠出に坂原が飽き…
坂原「アタシ…果歩の所に行かなきゃ!」
その場から立ち去ろうとするが…
ガシツッ!
坂原は服の袖を何か強い力で引っ張られる事に気付く。
坂原「離してよ!…アンタ達まさか、果歩の事を!」
服を捕まえている城所に対して強烈な後ろ回し蹴りを決めようとする坂原。
しかしいとも簡単にそれを止める城所。
城所「頼むアイツに少しだけ時間をやってくれ…」
悲痛な声と悲しそうな顔で坂原を見る城所。
坂原「なんか、深い理由があるのね…」
少しだけ悟ったように足の力を抜く坂原。
城所「お前には話したほうがいいな…アイツは…」
場所を移して先程の丘。
二人の上には夜を照らす月が上っていた。
その月も月食によりもう見えないか見えるか位に減っていた。
横になる果歩の寝顔をジッと見つめる志田。
その表情は何処かさえない、本当に果歩を連れてきた事に意味が正しかったか迷っていたからだ…
そして…考えていた、もしかしたら『アイツ』と同じ運命を導かせる事をさせているんじゃないか…と。
入学式からずっと見ていた。
似過ぎていたんだ。
性格は違えど雰囲気、仕草、そして顔…
決して『アイツ』と重ね合わせる事は果歩に対して失礼かもしれない…
だけど…
俺は…
忘れる事なんかできやしないんだ…
志田「なぁ、雪穂…俺は一体どうしたらいいんだ?なぁ教えてくれよ…」
その時、もう…月は無くなっていた。
