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小宮山「せ、先輩が試合するって言ったんじゃないですか！！」 古橋「まぁ、アイツらも大人ならいきなりあんなんぶつけてきーへんやろしな・・・・」
結局、弱小だったハズの葛西セメントに試合を申し込んだ城彩第二野球部。
だが、そんな本格的な試合に快く思わないものもいた・・・。
畑中「おい、いつまで古橋に好き勝手やらしてんだよ・・・」 真上「試合やるみたいですね・・・・」 嘉勢「まぁ待てよ。野球は人数いないとできねぇし。飽きたら辞めればいい」 畑中「それもそうだな・・・・」
小宮山等、一年の知らぬところに、第二野球部の亀裂は生じていたのであった・・・
試合当日、葛西の練習しているグラウンドへ集合する選手。 欠席選手は０、全選手が揃っているようだ。
古橋「とりあえずスタメンは先日決まったもので行くで」
第二野球部には主将は正式に存在しない。 しかし、大体は古橋が仕切っているのである。 采配を揮うのも彼だし、今日のスタメンもみんなの意見を取り入れて全部纏めたのも彼だ そして、第二野球部、今年度最初の試合が始まる
嘉勢「（判断させてもらうぞ・・・・古橋・・・・）」
葛西のシートノックが終わる、動きは鈍い。守備はとても良いとは思えない。
そしてなにより、注目の投手はベンチで座って様子を見ていたのである。
吉見「温存ね・・・・」
吉見が呟くと、小宮山が陽気に突っ込む。
小宮山「温存？何だそれ？」 吉見「エースを投げさせないで、他の人を投げさせるって意味だよ」 小宮山「なんで？それで負けたらどうすんの？」 吉見「負けない自信があんだろ・・・舐めやがって・・・」
スタメンは一番に小柄で足の速い吉見がショートで入る。 二番は今日、マスクを被る嘉勢。 三番は元野球部５番打者、古橋。 四番に入るのはセンターの門倉。 五番はチーム１の巨漢、ファースト西郷。 六番、サード。不良少年浅間。 七番には、レフトで中浜が入って。 八番にライト、最近入部した三年生庄治を起用 九番、ラストバッターセカンド真上を起用する。
小宮山「あれ？俺はどうするんだ？」 古橋「お前はまずはベンチや、試合展開によって呼ぶさかいにそこで控えて待っとれ」 小宮山「へーい。ベンチか・・・やる気無くす・・・ぐあっ！」
小宮山が愚痴った途端、何者かに首筋を捕まれた。 振り返ると、そこには第二野球部の先輩。 若干大柄で、人相の悪い男。武藤が立っていた。
武藤「ベンチも大切な役割だ。それがわからんような奴にスタメンなんて任せられるか！」
武藤はそういうと、静かに首筋を離し、黙々とバットを振りはじめた。
小宮山「ちっ、なんだよ。自分がスタメンに入れないからって・・・」 野上「太一・・・でも、武藤さんの守備してるとこみた事無いよね・・・・」 小宮山「おおかた打撃バカなんでしょ。」
聞こえないように話したはずの密談だったが。 風の流れに乗って、二人の会話は武藤の耳に入る・・・・。
武藤「（打撃バカ・・・・か・・・。）」
武藤はそんな二人の会話を聞き流すかのように、黙々とバットを振りつづける。
武藤「（俺には・・・もうコレしか残されちゃいないんだ・・・・）」
そして、それぞれの想いを胸に秘め・・・・・
第二野球部の緒戦が始まった。
「「「「おねがいしまーす」」」」
相手投手が投球する、腹がぽっこりでている中年で、身体が動いていないようだ。 制球は良いがせいぜい90ｋｍ/ｈ後半くらいであろう・・。 変化球においては更に遅い。
嘉勢「おいおい、コイツは行けるんじゃない？」 浅間「一発かましちゃおうぜ！なぁマセガキよぉ」 吉見「言われなくても、わかってますよ。」
勢いは、一気に加速したーーー。
打者一巡。。。初回、一挙７点・・・・・。
エラー、四球も絡み、怒涛の７連打だ。。。
そして、尚も二死一、三塁で。打者は３番古橋。
「お・・・おい、吉見。予定変更だ。なげたまえ！！」 相手投手がベンチに向かって叫ぶと、若くがっちりした青年がマウンドへ向かった。
野上「吉見？」 小宮山「壮真とおんなじ苗字だな・・・」
偶然だろう。誰もがそう思った。
だがそれは‘偶然‘にも‘偶然‘ではなかった・・・・・。
吉見「お・・・おい。アニキ・・・・」 「・・・・・は？壮真か？？」
古橋「・・・・なんやえらいこっちゃな。でも遠慮はせぇへんで」
続く |