第二話『崩壊寸前!?名門野球部を立て直せ!』
其の一[世界初!?黒人美女捕手]
「おいこら…起きろ馬鹿者。」
僕は今さっきから狂ったかのように机の上に突っ伏している丸岩と言う名前の馬鹿者頭をゲシゲシと殴りつけている。
…つうか一時間目から放課後までぶっつづけで寝る必要も無いだろうにつうか僕にはそんな芸当無理だ。
「ん〜どうした?もう一時間目は終わったか?」
「一時間目なんかとうりこして既に部活タイムだこの馬鹿。」
僕は持っている腕時計をグイと丸岩の鼻先に押し付ける。
「おお〜では早速勧誘と行きますか。」
丸岩は今さっきまで意識が無かったとは思えないほど素早く席を立った。
「それじゃあ初めはバレー部とかに…」
「初めのうちは勧誘には行かないぞ」
「…何故だ?」
「すぐに行ったら女ったらしの男みたいじゃないか、初めのうちは真面目に練習して野球部というものを再認識させるんだ。」
どうだ丸岩!これがずっと寝ていたお前と僕の差だ!
お前が寝てる間に僕はずっとこの事を考えていたんだ!
おかげで一時間目の現国はほとんど聞いてないぞ!テストヤバイなこりゃ。
「いやいや、やっぱりこういうのは初めの強引さが勝負で…」
珍しく食い下がってくる。
「本心は?」
「女の子に俺の存在を知ってもらおうと…」
「練習に行くよ!」
「はい…すいません。」
…みたいなことがあって今僕らはマウンドの上に居る。
さすがに強豪なだけあってマウンドのまあまあのものだ今すぐにでも投げ込みを始めたい…しかし…
「ん〜イイねイイね〜この黄色い歓声!これこそ俺が求めていた『天国』そう!パラダイスに違いない!生まれ落ちて15年!一度ももてたことの無いこの俺にこのような恩義を下さった神よ心からお礼を言う!サンキューゴット!俺はこの幸せを忘れないぜ!思えば今まで辛い日々だった…秋葉系秋葉系といわれ続け実力はあるのに試合でも・・・・・」
こんな事をほざいている馬鹿を始末するのもおっくうになるぐらいフェンスに大量の女学生が張り付いている、
「キャー」とか「こっち見たー」とか言う声も聞こえてくるし…
練習にならんつうか根本的に相方が既に逝っちゃってるから投げ込みなんて出来ないんだけど…
「ワタシガツキアイマショウカ?」
とうとう幻聴まで聞こえ出した…やばい!やばいぞ俺!頑張るんだ!この世に踏みとどまれ!
「ナニジブンノセカイニハイ〜ッテルンデスカ〜?」
恐る恐る声をしたほうを見る。そこには褐色の肌を持ったセーラー服の女学生が立っている。
心なしか…可愛い。
「キャッチボールクライナラツキアイマスヨ〜」
女学生の手には…キャッチャーミット?
「ユーノグラブピッチャーヨウネ〜ワタシキャッチャーデキマース」
だいぶ混乱していた僕の頭はやっと正常に動きだした。
どうやら彼女はキャッチャーが出来て僕とキャッチボールをしてくれるらしい…願っても無い話だ。
「いいよ。付き合って」
5、6球ほど付き合ってもらって思ったのだが…なんだこれは?
あまりにも違和感が無さ過ぎる。
今僕の相手をしているのはセーラー服を着た黒人の女なのにそんな気配まったく無い。
一球としてボールをこぼさない。いや決して僕が駄目なピッチャーな訳ではないと思う。
しかし僕自慢のスライダーまでこうも軽々と取られちゃあちょっとへこむ。
「野球経験はあるの?」
「アリマース、アメリカニイタコロスコシダケヤッテマシタ〜キャッチングニハジシンガアリマース」
完璧だ!彼女が野球部に入ればもうキャッチャーの心配をする必要は無いだろう。
僕は最初にして最大の難所をクリアした!
「それじゃあ野球部に入るんだね!?」
「ソレハカナイマセーンミーハスイソウガクブニハイリマース。」
撃沈…そんな馬鹿な!これはまずいぞ!なんとしても食い止めなければ!
「いやいや。何とか野球部に入ってくれないかな?ほんとにお願い!」
ついに土下座までしだした僕…人としてだいぶ堕ちた気がする。
「シタカアリマセンネー。ソレナラナニカオヤジギャクデミーヲワラワセタラヤキュウブニハイルネ。」
「そうゆうことは俺に任せろ!」
急に復活しだす丸岩。いややめてくれ!マジで!だってお前の親父ギャグは…
「いくぞ!・・・・・・・・・・・・・・・・・・土管がドッカーン!」
全然笑えないんだから!
つうかどうすんだよ!この子が居なかったら誰も捕手なんて出来ないぞ!
責任を取ってお前がキャッチャーやれこの馬鹿!
「HAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHA!」
一瞬耳を疑った。
「ドカンガ…マジオモロイネーモーワライスギテチョウネンテンニナルネーヤクソクドウリヤキュウブニハイルネー」
………うん…何はともあれ結果がよければすべて良いんだ!とりあえずキャッチャーを確保したぞ!
…と自己紹介を!
「僕は早乙女亮太って言うんだ。よろしく。」
「ミーハローラ=シェーンネ、イゴオミシリオキヲ」
こうして世にも不思議な黒人捕手が誕生した。