第四話A『実力の程』
序盤は両校の投手、早乙女と小田桐に両校ともノーヒットに終わる。
4回の表、八万石高校の一番、間宮に内野安打が生まれる。
2番3番と凡退に抑え4番のキャプテン国山を迎える。
「どうやら八万石高校は今年できた高校のようです」
(みんな!早乙女と二人きりになりたいか〜!)
(なりたーい!)
試合前、霧島先生がチームの人を集めて言った。
後ろで聞こえているのは丸岩が客席に向かって話している事なのであまり気にしないで下さい、
後でちゃんと殺しておきますので。
「だから野球部はみんな一年生、でも今年の甲子園地区大会で春夏共にベスト4入りしてます。まあ要するに強いって事です」
「へえ〜良く練習試合が組めましたね」
(今日この試合に勝った暁には!)
(暁には〜?)
「ベスト4と言っても全員一年生ですからね、どこの高校も1年生がレギュラーの所とはやりたくないんでしょうね」
「なるほど〜」
(抽選で1名様に『早乙女君と一日二人きり券』を差し上げちゃうぞ〜!)
(キャー、キャー!)
「ってちょっと待ったー!」
そしてまたいつもの光景。
4番の国山君を迎えて僕はちょっと尻込みする。
このチームの中で唯一ボールをセンターまで飛ばされた。
しかもライトやレフトだったら間違いなくホームランだった。
ローラが外角低めにスライダーのサインを出す。
サインを出した後プロテクター越しに胸をドンと叩く。
気持ちを込めてってことか?…よし!
僕は大きく振りかぶって外角低めにスライダーを…もちろん気持ちを込めて…投げたと思っていた。
「んジャストミーティングゥゥゥゥゥゥウ!!!」
けたたましい打球音と共にボールがレフトスタンドの上段に飛んでいくまでは…