第五話[惨敗と反省]
試合が終わっていれば結果は5対0のボロ負け、
しかも5点のうち4点は国山君のホームランと言うとてつもない結果に。
試合後、僕ら9人+監督は部室に篭り今日の反省会を行った…
まあ『早乙女君と一日二人きり券』が発行されなかったことは嬉しいんだけど。
「えーこれより第48回恋恋高校野球部試合後反省会を行います」
珍しく丸岩が真面目だ。
まあ丸岩は監督補佐と言う訳の分からない役職についているからそれなりの責任感があるのだろう。
「…それでは監督お願いします」
と、さっきから部室の隅でうずくまっている霧島監督にすべてを任せ自分はそそくさと部室を出て行った。
…前言撤回、あいつに責任感なんてあるわけなかった。
「あ…あのぉ…そのぉ…えっと…そのぉ…」
「恥ずかしいのは分かったから続けてください監督」
今日の霧島監督は散々だった。
大抵のファールボールは監督の方向に飛んでいってたし、
スコアブックを書くと大抵の確率で鉛筆が折れたし、
丸岩にスリーサイズと好きなタイプもしっかり公表されていた(後でしっかり制裁を加えた)
「えっとぉ…その…私野球の事は何も知らないので…上手い事はいえないんですけど…その早乙女君はプロの人と比べて牽制がちょっと下手かなぁなんて…」
ああそうですかそうですか…ん?今さらりと凄い言葉が出たような。
「あの先生…」
「はいなんですか?」
「プロの人と比べてですか?」
「ええ、プロの人と比べてです」
すました表情で言葉を続ける先生。
「なんでプロの人を知っているんですか?」
「ええっとぉ…そのぉ…言うなって言われてたんですけど…丸岩君がこれを見ろってそのプロ野球の試合が入ったDVDを沢山くれて…」
そうか…だから先生の目の下にくまがあるのか…先生も頑張ってるんだな。
「丸岩もあいつなりに頑張ってるって事か」
宝来坂さんがそう呟いた…そうだなあいつだってあいつなりに頑張ってるんだ。
…僕も頑張らなきゃな!
僕は大きく背伸びをした。