第十二話[勝てますよ]








































恋0−0柚

得点のチャンスを予想外の強肩で潰し流れは柚北…いや流れは大具来に向いている。



1回の裏1,2番を凡退に抑えた後3番柚元君に四球を出してしまった。そして



『4番、ライト、大具来くん』



柚北側の応援席のボルテージが一気に上がる!

この声が凄い!うるさくてしかたが無いがそれほど大具来君にかかる期待は大きいのだ。


「よろしくお願いしまーす!」


4番の割にはそれほど大きくない…180はあるだろうが…普段宝来坂さんを見てるせいかそこまで大きく感じない。

…だけどこの威圧感はなんだ?宝来坂さんとは違う迫力がある。

ローラのサインは真ん中低めのシュート。

いつも通りにオーソドックスなフォームからシュートを投げる。



…が!指がすくんだのかあまり曲らない。



大具来君が大きなフォームでバットを振る!





カキィン…





一瞬ボールを見失うがすぐに分かった、右中間フェンスに直撃してグラウンドに跳ね返ってくる。

センターの友沢さんが上手くクッションボールを処理するが時既に遅し。柚元君はホームベースにタッチしていた。

…タイムリーツーベース…





「監督!どうしましょう!?打たれちゃいました」


恋恋ベンチでマネージャーの湊が騒ぐ。


「落ち着いてください!まだ1点ですから!」


監督の霧島も大きな声で湊をなだめる。


「それに…」


湊が目に涙を溜めて見つめる中霧島監督ははっきりとこう言った。












「勝てますよ、この試合」

















恋0−1柚