第十四話[残酷なまでに静かに…]
四回の裏、柚北高校の攻撃。
3番の柚元が左飛に倒れ。バッターは2打席目の…
『4番、ライト、大具来くん』
…この高校はなんだ?
さっきの場外といいあの二遊間の守備といい…そこら辺の雑魚高校よりよっぽどいい動きしてるぜ。
…だが
俺はマウンドの上で念入りにロージンを手に取っている投手を見る。
…幸い投手は並みの心臓の持ち主らしいな。
面白いほどに俺の術中にはまってくれた。
完全にビビってやがる。
この威圧感はいわば俺の元よりの才能、能力だ。
相手はこの威圧感にビビリまくり変化球のキレが落ちるって寸法だ…
ちらりと早乙女とか言う投手を見ると明らかに柚元の時とは違う。
…心配するな
…この俺が美しく
…残酷なまでに静かに叩き潰してやる…
早乙女が明らかに不自然な表情をしながらボールを投げる。
外角低めに逃げるスライダー
…苦しいのは分かってるぜ…
…今楽にしてやる…
キィン…
俺の打球はフラフラと力なく飛び…
右翼のポールの根元に直撃した…
恋1−2柚