第十五話[踏んばれ西木＆ローラ！]
































「自覚がないかも知れんがうちのエースはお前だからな」


ローラ意外の恋恋高校の選手達が全員集まったなか丸岩が早乙女に強くそう言う。


「それが分かるまでちょっとライトで頭冷やして来い」

「…そうするよ」


丸岩の提案に早乙女も力なく頷く。


「琴宮は今日は下がってくれるかな？」


琴宮も丸岩を信頼しているのかぺこりとお辞儀をしてベンチにトテトテと走って帰っていく。


「タイサ！西木ノカタツクリオワッタネ！」


ベンチ横で西木とキャッチボールをしていたローラが帰ってきた。


「うっし！それじゃあ守備にもどれ！」








「正直どうよ？」


皆が守備に散った後丸岩がローラに話しかける。　


「ストレートモ１１０テイド、ヘンカキュウモカーブシカモッテナイネ」

「やっぱ厳しいか？」

「ダイジョーブ、ダイジョーブ！私シンヨウスルネ！」


そういって胸をドンと叩く。







「プレイ！」


マウンドには恋恋の一年生西木。

打席には柚北の三年生水田。

早くも西木が振りかぶって投げる。




スルリと変化するカーブ


「ットライク！」

（なんだよ…ただのカーブじゃないか）


西木、二球目





ドローンとだらしなく変化する前のより数段遅いカーブ

打者も思いっきり振るがタイミングが合わず当たらない


「ットライク！」

（おっせー…７０キロ位じゃねーのかアレ）


水田が足場を慣らし、バットを構えなおす。

三球目を腕の振りを早くして投げる。




渾身のど真ん中ストレート




と言っても球速は柚元のシンカーより遅いかもしれない。


パン！


「ットラーイク！バッターアウッ！」





「はぁ！？」


一塁の丸岩がそう漏らした。余りに遅い球なのに水田が見送ったからだ


「はぁ！？」


柚北の監督もそう漏らした。余りに遅い球なのに水田が見送ったからだ


「はぁ！？」


柚北の応援団もそう漏らした。余りに遅い球なのに水田が見送ったからだ






だが打席の水田は違う。


（一年の癖になんでこんなに緩急つけられるんだよ！）


ただ１人悔しがっていた。




恋１−２柚