06――――New監督=波乱の幕開け
志田「はぁはぁ…」
志田は投げるどころか立ち上がることさえも出来なかった。
中学あがりで80球以上、しかも軟球より重い硬球での投球は除所に疲労として体をむしばんでいった。
その後は投手経験のある一年の村田がマウンドに登ったが、ただ『球を投げる』だけの投手には高校生達は容赦は無かった…
六回には17対4のコールド負けで勝負は終わってしまった。
一同「したーっ!(ありがとうございました)」
パチパチ〜!
「いゃ〜面白かったよ」
挨拶が終わったところに急に現れた男性…
バックネットから急に拍手を送り出した。
スラッとした体系に眼鏡を掛けた白髪が目立つ、まだ歳は30代前半に見えどうやら白髪は地毛のようだ。
2年3年の反応を見るとどうやら学校内の人では無いようだ。
宮田「あ…あの…彼方は?」
そう言うと部員全員の目がその男性に向けられる。
和泉「あぁ僕は和泉恭太郎(いずみきょうたろう)新しい野球部の監督だよ〜」
浦和「か…監督!?…って事はやっぱり成田先生クビになったんすね…」
柔らかい物腰で喋る和泉監督。
しかし2年3年は浦和の言葉を聞くと野球部員は皆苦笑いを浮かべる。
城所はその様子を見て隣の石川に話掛けた。
城所「先輩、成田先生って誰っすか?確か教職員にもそんな先生は居なかった様な…」
石川「野球部を五年連続一回戦負けさした挙句に部費をパチンコに充ててた自称『優秀な監督』だよ」
そりゃクビになりますな…
和泉「でもビックリしたよぉ〜超弱小チームだって聞いてたから、救いようの無いチームだと思ってたけど〜」
実はかなり酷い事を言っているのだが反論する者は誰一人としていなかった。
悲しき現実である。
和泉「まずキャプテンの黒井君、巧打に時折の長打そして堅守はキャプテンだけはあるね〜」
試合の中では6打数4安打4打点、0失策…確かにこれはキャプテンとしては立派な数字で実力は他校でも立派にレギュラーを張れる。
和泉「黒井君は打撃は強打で投手としては六回を投げても息を切らさないタフネスさを持っている、だけどノーコンで打撃も荒いんだよね〜」
5打数1安打1本塁打4打点2三振、六回4失点被安打7四死球7、打撃に投球両方安定感に欠けるが型破りとしては良い才能を持っている。
和泉「赤丸君はなんといっても『目』だね〜選球眼と動体視力これは立派な才能だから早く自分のスタイルを身に付けた方がいいね」
3打数3四死球、黒井の制球力がまだまだであった事もあったがこの数字は立派である。
そして一回の守備の場の状況判断等からみるに恐らく考えれる2番タイプであろう。
和泉「そして城所君、君は本職は遊撃手じゃないょね〜恐らく投げ方から見て捕手辺りをやっていたから投げ方に癖が残ってるよ〜しかし遊撃手でも充分貢献できるけど打撃は多少不安があると見たね」
3打数3安打1本塁打3打点、試合で取ったアウト18の内14個が城所が取ったものである。
今後も東水原の中軸を担うであろう選手になるだろう。
和泉「じゃあこれからは少し厳しい事をゆーね?べた褒めしすぎじゃ皆も僕の採点疑っちゃうしね〜」
一同は和泉の分析に唖然としていた、城所さえもだ。
たった一試合見ただけでココまで分析できるのはやはり只者じゃない。
和泉「志田君は僕が一言で言えば『投手失格』の太鼓判を押すね〜球の質感に球速そしてスタミナ、これは野手転向を視野に入れておいた方いいね〜」
三回8失点被安打10、そして内容よりも実際にまともに抑えたのは一人だけ後は味方の好守に救われていた場面がほとんど。
球速が無いうえ質感までないのは投手としては致命的なものである。
和泉「そして加瀬君は自分を勘違いしすぎてるよぉ、その体格でしかもそのパワーじゃ…」
3打数0安打結果は全てレフトフライ引っ張った結果である。
城所「和泉監督…彼方は一体…」
それは部員全員の聞きたいことでもあった。
和泉「へへっ〜実は僕はプロ野球の『所沢ライオンズ』のスカウトだったんだ〜まぁ選手経験は無いからプロアマ規定には引っ掛からないけど〜」
『所沢ライオンズ』かつて大スターの清原和博(現読瓜)が所属して現在は球界の大エース松坂大輔が所属する常勝チーム。
一同「えーーーーっ!!!」
その次の日に学校から正式な監督の発表があった。
とにかく新入部員に新しい監督…東水原高校野球部の波乱の幕開けの始まりであった。
